2012/09/05

【休肝日】「カキフライが無いならこなかった」を読む

「登山服の老夫婦に席を譲っても良いか迷う」

「座席を倒すタイミングを失った」

「自己紹介の順番が近づいてくる」

誰しも覚えがあるけれど言葉にするまでもないと思っていた感情。
日常のちょっとした違和感やささくれを言葉にした自由律俳句469句を書いたのは今人気絶頂の芸人又吉直樹と「去年ルノワールで」などの妄想系文学の旗手せきしろの2人。

いちいち「そういうことあるなあ」と思わせるつぶやきが満載で、初めて読んだ時は笑いが止まらなかったのだが今読むとその後ろにある寂しさに気がつく。

自意識過剰な少年がそのまま大人になり、くすぶりながら暮らしている姿に共感が止まらないのは自分でだけではないはずで、又吉さんの人気ぶりもその心に奥にある孤独ぶりにあるのでは、と改めて思った。

誰かに良く思われたい飾った言葉やおためごかしは相手の心の表層を流れて落ちるだけで、相手の心の底には届かない。それはある程度の大人になればみんなわかっていることだと思うけれど、こういった飾りのないつぶやきを目にすると俺はほんとうのことを言っているだろうか、と思わず自分を省みる。

ほんとうのことを言うのには勇気がいるし言う必要もないことの方が多いと思うけれど、そんなほんとうのことを言える相手がいれば人生はきっと楽しい。もしいないならぽつりとつぶやけばいいのである。

「ノンフライ麺の方を選ぶ」
これは素直な自分の心の声である。

「脱いだスリッパが内股になっている」
これは我が家の玄関先。

みんなもやってみるといい。きっと少しは気が晴れるはず。

もっと実のあること言えよ、とも思うけれど、実際、人生にそんなに実のあることはないのだ。
日々をただ生きるそのスタンス、息抜きとしておすすめの一冊。

カキフライが無いなら来なかったカキフライが無いなら来なかった
(2009/06/25)
せきしろ、又吉 直樹 他

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