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2011/08/15

【休肝日】「この世界の片隅に」を読む

残暑お見舞い申し上げます。

特別な今年の夏、いかがお過ごしでしょうか。

私も今年はいつもと違う夏だ、と思いながら節電で汗をかいていますが、このマンガを読んで、1945年も特別な夏だった、ということを実感しました。

この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)
(2011/07/21)
こうの 史代

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舞台は1930年代から40年代の呉。

歴史を紐解ける我々はどんな悲劇が待っているかを知っているけれど、登場人物たちはまだ知らない。

物語は主人公の女の子すずの子供の頃から、呉にお嫁に行き、終戦を迎えてそれでも生きていく姿を時に微笑ましく、マイペースで描いています。

焼夷弾が降ってきても街が燃えても、一方で日常は続いて行く。当たり前ですが、そんなこと、考えたことも無かった。というのが私には正直本音でした。

死んだばあちゃんのおとうとは戦争で亡くなりましたし、子供の頃街で足が無い方とすれ違うことはよくありましたので、戦争は怖いな、というくらいしか思っていませんでしたが、普通にご飯を食べて、洗濯をして、世間話をして、恋をして、という日常はもちろん隣に続いていた。なかなかそんな当たり前なことに気付かなかった。

玄米を精米して芋を入れて作るおかゆや、
焼け跡の屋台で食べる残飯雑炊の美味しそうなこと。
(私の大好きなお酒は残念ながら出てきません)
戦時中は物資不足で大変だったと聞きますが、家族の団らんがきっとその代替になっていたのですね。

すずたちの暮らしを追体験しているうちに、
焼夷弾怖いねと井戸端会議するすずたちの姿と、
昨日の地震大きかったね、と会社で話す我々がシンクロし、いつか物語は自分のものになっていきます。

そして1945年、街が焼かれた特別な夏。

ラスト、胸に刺さる一つの奇跡が一家に起こりますが、この奇跡については触れません。
たぶん、そんな奇跡は、きっと今の日本のあちこちで、起こっているに違いない。

涙が枯れてしまいそうに辛いことがあったとしても、生きていれば日常は続いていく。
小さい確かな幸せは、日々見つけることができる。
(「笑うたびに思い出します。たぶんずっと、何十年たっても」)

もしかしたら、この夏読んだから、とても共感出来たのかもしれません。
だけど、世界のすべての人に読ませたい、名作でした。

色々なことを思い出す夏。忘れられない夏。

暑い日が続きますが、お身体ご自愛ください。

早々


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