2010/05/23

【休肝日】「THE 大市民」を読む

長く生きてきていいことの一つは本棚の本がどんどん増えていくことで、10代の頃の本棚と比べると質と量双方が充実しており、しかも忘れるスピードも格段と早くなっているので、本棚の奥にまったく内容を忘れている本やマンガを発見することもしばしばあってこれが嬉しい。

雨の休日は本棚探検に最適で、この日は柳沢きみおの「THE 大市民」を発掘して再読。

柳沢きみおと言えば「飛んだカップル」で一定以上の年齢の男子にはおなじみの作家で、一時期書き飛ばしていたがそのどれも話がどこかに転がって行ってしまって収拾がつかなくなる代物であふれる才能のコントロールがつかないのか、飽きっぽいのか、編集者に恵まれないのか、と読んでため息をついたことを思いだす。

最近は「特命係長只野仁」でスマッシュヒットを飛ばしていたが、彼の作品で最も面白いと思うのがこの「大市民」シリーズである。

主人公は作家の山形鐘一郎53才。髭に着流し、マッチョな彼が男の美学や人生訓を語りつくすこのマンガ、最近の若者は的な意見はもちろん、マスコミのくだらなさや社会の不合理などを一刀両断にして痛快無比なことこの上ないのである。

山形先生はビールが大好きで、冷蔵庫から出したキンキンに冷えた小瓶をコップに注ぎ「美味し!」とやるのが日課で、これがまた読んでるだけでビールを飲みたくなる。
また、山形先生の作る料理がこれまた旨そう。

得意なのは白菜鍋で、土鍋に水をコップ半分、豚バラと白菜を交互に重ねて煮るだけの簡単料理。
塩と酒で味付けして、大根おろしと刻みネギをたっぷり、ポン酢をかけて食べるのだ。

もう想像するだけで「美味し!」である。

先生は1日の最後に酒が美味しければ幸せ、と言う。
「こういう小さな幸せは自分を裏切らないからなァ。大きな幸せはえてして大きな不幸を連れてくるが・・・だから1日の中に小さな幸せをどれだけ多く持っているかで人生の幸せ度は決まるんだよ

村上春樹さんも同じことを言っていて(「小確幸」)、俺たちはその小さい幸せをたくさん味わうために生れてきた。
辛く悲しい時も空の青さがきれいだったり、校庭で遊ぶ子供たちの鈴のような声は聞こえていて、それでふと幸せ感を感じることが出来る感覚を人間はもっている。
同じことをしていても感じ方が違うのが人間で、だったらいい方に感じた方が満足度が高いんじゃないだろうか。

この「大市民」、発表する雑誌を変えて時々連載しているが、相変わらず山形さんは男の美学を語って絶好調、最近では「大市民日記」で活躍中である。

大市民日記 1巻 (ニチブンコミックス)大市民日記 1巻 (ニチブンコミックス)
(2006/04/07)
柳沢 きみお

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