2010/04/18

【休肝日】「いしいしんじのごはん日記」を読む

生まれ育った故郷のことを書くことは結構面映ゆいことだがその裏にはなんだか自慢したい気持ち半分、でも本当の良さはわからない、なんてひねくれた思い半分だったりする。

俺が生まれる前の三崎は映画館があったりするくらい栄えた町で、マグロ漁船が帰ってくると船員たちで町があふれかえり、飲み代の代わりにマグロ一匹持ってきた船員がいたとかいないとか。電車は車で30分以上かかる久里浜止まりだったのに船から入ってくる物資で金が集まり、それは景気がよかったそうだ。

今はマグロと言えば大間になってしまったけど、そんなわけでいつしかマグロ景気が去った三崎は時が止まった町になった。開発をする資金を投下する企業もないので町並みはそのまま。俺はひそかに関東の尾道と呼んでいるが、その良く言えばレトロ感ただよう町並みを目当てに映画のロケが行われているのもなんだか皮肉なことではある。

この町を気に入ってくれて住んでいるのが作家のいしいしんじさん。
彼の書いた「ごはん日記」を読むとなんとなく三崎の雰囲気がわかってもらえると思う。

いしいしんじのごはん日記 (新潮文庫)いしいしんじのごはん日記 (新潮文庫)
(2006/07)
いしい しんじ

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いしいさんは三崎にわざわざ越してきて、毎日毎日魚を食べてはうまいうまい感涙!とぽたぽた涙を流してる人で、なんだかその楽しさや時間の流れ方がこっちに移ってくるようである。
(確かに魚はイキがいいのでうまい。俺は上京したてのころスーパーで魚を買って食べてあまりのまずさにびっくりしたことがある。)

三崎の下町は家と家の距離が近くて、遊んで帰る夕暮れ、ちゃぶ台にビールを出しながらランニングシャツでナイターを見ているおじさんを横目に、台所からは美味しそうな匂いが漂ってくるような、そんなところ。

船員たちが金を落としてくれたスナックはまだたくさん残っていて、固いドアの向こうは一見としては非常に入りにくいが、きっと暖かく迎えてくれるだろう。

犬の散歩コースである浜諸磯はいしいさんがいつも素潜りしてガゼ(うに)とか採ってるところで、いつかばったり会ったりして、と期待している。ちなみに俺も子供の時はよく素潜りしたものだがいつも潜る場所は決まっていた。違う入江はやはり不気味で子供ながらもうまく危険をよけていたというわけだ。

都心からわずか1時間で自然を満喫出来る三崎。
わざわざ高いマグロを食べなくとも、イカやアジ、サバ(松輪は三浦市にある)あたりにすればリーズナブルに楽しめる。いしいさんも書いているが中華店「牡丹」のシューマイはボリューミーでシューマイ好きの俺のお気に入りの一品。妙な魚がたくさん置いてある「まるいち」の店頭は見ているだけで楽しい。「ごはん日記」を小脇に町を歩くのも一興です。



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