fc2ブログ
2010/10/03

【休肝日】瀬戸内国際芸術祭アートベスト10

瀬戸内国際芸術祭で行脚した中で気に入ったアート作品はこんな感じでした。おこがましくもベスト10形式でご紹介。


第10位:福武ハウス2010(女木島)
女木島小学校跡をギャラリーにしたもので、なかなかクオリティが高かった。中でも真っ暗な音楽室に展示されたビル・ヴィオラの「トランスフィギュレーション/ヘレナ」はすごかった。びっくり。写真不可なので写真なしです。


第9位:大竹伸朗&graf 直島銭湯「I LOVE 湯」

直島銭湯I LOVE 湯

大竹伸朗さんならではの立体コラージュ的銭湯。浴槽の底には春画、壁画は海女さん、象のはく製が男湯と女湯を隔てているとっても不思議な空間。アートの中に裸で入る経験は世界初では。番台に座ってる地元のおばちゃんも素敵なムードでした。客が多いのにあわてずのんびり、みたいな。

いい天気でした


第8位:クリスチャン・ボルタンスキー「心臓音のアーカイブ」(豊島)
人の心臓音を集めてアートに仕立てるボルタンスキーさんの作品はすごく恐ろしくて悲しくて、越後妻有の廃校を舞台にした作品には思わず泣き出す人もいたのだけれど、フレームの中が真黒に塗られた額がたくさん飾られる展示室は薄暗く、心臓音が鳴るたびに電球が明滅。女の子たちが叫びながら出てくる光景はさながらお化け屋敷でした。写真は展示室のある建物の隣の砂浜。併設された部屋ではたくさんの人の心臓音が聞けますが、男性と女性で全然心臓音って違うものなんですね。

ボルタンスキーさんしつこい


第7位:宮島達男「角屋・家プロジェクト」(直島)
デジタルのカウンターが刻々と変わるアートが得意な宮島さんの作品。水の底にあるカラフルなカウンターが時を刻みます。思わず見入ってしまいました。

角屋


第6位:「精錬所」(犬島)
銅の精錬所だった建物をアート作品に改造したもので、意外にスケールが大きい空間に驚き。遺跡風のたたずまい自体もすごくて、世界遺産に来ました、と言ってもうなづけるような場所でした。

精錬所

第5位:地中美術館
特にジェームズタレルの「オープンフィールド」は経験したことのない空間体験。ウォルター・デ・マリアの「タイム/タイムレス/ノータイム」は礼拝堂のよう。思わずお祈りしたくなります。(写真不可)

第4位:ブルース・ナウマン「100生きて100死ね」
ベネッセハウス内にある大きな作品。カラフルな蛍光灯がメッセージを明滅させるもので、ついつい「生きる」と「死ぬ」を考えてしまう。(写真不可)

第3位:大岩オスカール「大岩島」
モノクロで島の風景を描きだした大作は両側に鏡が配されて永遠に続いているよう。火事で燃えてしまったのがとっても残念です。

オスカールさんすごい

第2位:森真理子「トムナフーリ」(豊島)
バスを降りて山道をえっこら登ってたどり着いた沼にあります。スーパーカミオカンデと連携していて、超新星が爆発した瞬間に光り輝くそうです。俺が見ていた時にその変化はありませんでしたが、沼に映る光景自体が空間が歪んでいるようで不可思議でした。

トムナフーリ

第1位:リーウーファン美術館
石やコンクリートなどを使った作品などシンプルで力の作品を作る作者の個性が充溢した美術館。非作為的に思える「もの自体」に魂が宿っているというか、なんだかすごいと思わせる美術館。

リーウーファン美術館

こうやって振り返ってみると、今回の芸術祭のために作られた作品というよりも恒久的に設置されたものに強く惹かれました。全部見に行ったわけじゃないので厳密にはわからないけど。

一人旅の女の子や男の子、グループで来てる学生さんなど若者がたくさんいて、みんな関西方面から来ている様子。きっと刺激を受けて自分で写真を撮ったり絵を描いたりするに違いなくて、関東圏と関西圏のアート感度がこんなところから差が出てしまったりして。

会期は10月31日までですが、恒久的に設置される作品は人が少なくなった後にゆっくり見に行くのもいい案かも。

スポンサーサイト



続きを読む

2010/10/02

【休肝日】今年の夏は瀬戸内国際芸術祭

去年の夏休みは越後妻有アートトリエンナーレに行ったのだけれど、今年は話題の瀬戸内国際芸術祭へ。

20世紀的回想

もともと瀬戸内は直島のベネッセハウスを中心としたアートスポットで有名なところで、その直島を中心として犬島、豊島、男木島、女木島、大島、小豆島という7つの島にアート作品を散りばめたイベントがこの瀬戸内国際芸術祭。

均衡

瀬戸内海に浮かぶ島々というその風景を想像するだけでも十分魅力的なのに、その中に世界的アーティストたちの作品が配置されている、というのがとっても素敵で、企画案を耳にした時から行きたい気持ちでいっぱいだったこのイベント。

ついに行ってきました。

犬島・精錬所

フェリーの増発があるとは言っても1日に3本という路線もあるくらいに、まずは島へのアクセスの問題。また宿泊施設。食事。限られた時間の中でどれくらい効率的に旅程が組めるか、と旅程表を作って出発。

便名、時間、バスの時間までをインプット。もう個人パッケージツアー状態。

個人で行く旅は予定はざっくり決めてあとは現地で、なんていうのが楽しいのだけれど、そこに「効率的」や「リーズナブル」というファクターが加わるとどうしても事前に決める必要がある。そうなると意外にパッケージツアーの方が便利でお得だったりする。この辺は旅人としても悩ましいところだ。

高松港

島々は高松港を起点に回ったのだけれど、結構正解だったかもという気がしていて、夜は酒を飲みに行きたい俺としては高松の繁華街をふらふらと散策出来たのが良かった。島々にも民宿がいろいろあるようなのでそっちに泊まるというチョイスも面白そうではあったけど。

瀬戸内の夕暮れ

住んでいる人たちには生活上での移動手段は船。それが当たり前というのは生活上での態度や性格にも影響を与えるのだろうな、と思ったのは住んでいる人たちの優しさというかおおらかさというか、分刻みで電車に乗って仕事なり遊びに行く都会での生活とはやはり違う感じがとてもした。それでそういう暮らしが羨ましいなと思ったのはきっと自然なことだと思った。

女木島の海水浴場

アート作品の面白さやドッキリ感みたいなのもあったけど、感じたのは自然の豊かさと瀬戸内という場所のふところだった。海に浮かんでいる島々が逆に海をギュッとつかんで繋いでいるような、そんな安心感。内海ならではのたゆたう水量の豊富さ。フェリーからエイがジャンプする光景を見たりしたけれど、海の底にはそれこそ魚たちの豊かな生活があるに違いない。

犬島

いきなりまとめのような感じだけれど、なかなか面白いイベントでした。

10月31日までの開催なので、時間がある方や近い方は行ってみてください。
結局、アートは単なるきっかけだけであって、実際に感動するのはその土地の光景や、その土地に住んでいる人たちとのふれあいだったりして、それはまさに旅そのものの醍醐味でした。

次回は今回良かったと感じたアート作品をご紹介します。