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2009/10/04

【休肝日】「孤独のグルメ」を読む

Mさんのこの記事を読んで久々に読みたくなった。

名作「孤独のグルメ」は主人公の井之頭五郎が毎回食事を食べるだけの一話完結のマンガである。

孤独のグルメ (扶桑社文庫)孤独のグルメ (扶桑社文庫)
(2000/02)
久住 昌之谷口 ジロー

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ある時はコンビニで買いすぎてしまい、ある時は百軒店で餃子をほおばり、ある時は球場でカレーを食べる。

1人で初めての店に入る時の逡巡や美味しそうな食べ物がカウンターに出てきた時の気持ち。
丹念なディテールの描写が肝のこの作品、世にグルメマンガは数あれどその異彩ぶりは他の追随を許さない。

店の前を行ったり来たりして勢いで入った先日、店主に「さっき通り過ぎてましたよね」と言われて「戻ってきちゃいました」なんて頭を掻いた。

店の中が見えない場合はもっと入りにくくて、でも勢いをつけて入って失敗したことはあまり無い。

ドアは開けるためにある。開けなかったドアの中は当然だがわからないのだ。


井之頭五郎のモノローグは「ぶた肉とトン汁で豚がだぶってしまった・・・」とか「うまい・・・」など俺達がいつも店で思うようなことばかりだ。

中でも心にぐっとくるのは、中国人のアルバイト店員を横暴にしかりつける店主に言う台詞。

「人の食べてる前で、あんなに怒鳴らなくたっていいでしょう」

金なんかいらないから帰れ、という店主に向かって五郎は言う。

「モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず自由で なんというか救われてなきゃあ駄目なんだ。
独りで静かで豊かで・・・」


俺たちは生きるために食べている。
だけど食べることは本当に楽しいし嬉しい。
井之頭五郎が言うように、美味しい食事をする時に俺たちは「救われている」のだ。

そして救われたいために今日も新しいドアを開ける。
まるで巡礼者のように。
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